富士越龍図 北斎 jpshokusaib85

富士越龍図 北斎

ライン

富士越龍図 北斎
絹本淡彩一幅
95.5×36.2cm
嘉永二年 正月辰ノ日 宝暦ト庚辰ノ年出生 九十老人卍筆印=百
北斎館蔵
 画面は雄大な富士を越えて、黒雲と共に龍が昇天するといいます。出世を意味した目出度い図柄となっています。全体に墨絵の筆致で描かれ、幾何学的山容の富士、蛇行する黒雲と龍の姿態の構図に、北斎独自の画而構成法を見る思いがする一幅です。
 この幅には、出生年宝暦十年(1760)と共に、嘉永二己酉年(1849)ぷ月辰ノ日と記されていることから、絶筆に極めて近い制作になるものとしても注目されます。北斎はこの年、四月十八日、浅草聖天町遍照院境内の仮宅で、あと十年、五年の余命を望みつつ、齢90をもって没しますが、この幅は、自らを龍になぞらえる心象風景とも思われ、一滴の水とは、110歳にして画業完成と定めた北斎にとって、あと幾許かの命ではなかったでしょうか。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika

Wikipedia Hokusai Katsushika

ウィキペディア 葛飾 北斎

About the author: 重右衛門