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国芳 東都名所・新吉原 jpskunisada28

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国芳 東都名所・新吉原

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国芳 東都名所・新吉原
大判錦絵 揃物 25.7×36.9 cm
落款:一勇惰國芳画 板元:加賀屋吉兵衛 極印
所蔵:酒井コレクション
 地廻り節に声しぼる、つい手拭いの頬冠り……、という常磐津の「戻り駕」の一節が、ふいとこの図柄から連想されました。遊里を繩張りに押し歩く近所衆の地廻りが唄う投節か潮米か、いうところの地廻り節が、大きな輦をかぶった天心の月下に聞こえ、月光を浴びて日本堤の上に影を落として歩む垂れ駕寵や媒客、たぞや行燈の下に無心に睡る犬等と、情調豊かな廓外の風物詩がくり広げられています。月の彙は雨の間近いことを予知させ、そのせいか画面全体にしっとりとした夜気のただよう感じを催させます。吉原田圃の洋風陰影を帯びた樹葉も、何か雨気を含んでいるようです。進歩的な気象と、近代的なセンスに富む国芳が、天保初年、思い切った洋風技法を施して発表した野心的風景画「東都名所」シリーズ、十枚揃い中の一図で、江戸ッ子国芳の一面も遺憾なく表出された傑作です。月の輪郭の墨線はさらい残したものと見え、後摺りでは削られて自然になりますが、渾然とした雰囲気はこの初版がまさりますので、多少の欠点はあっても、この方を紹介しました。
歌川 国貞 Utagawa Kunisada

Wikipedia Kunisada

ウィキペディア 歌川国貞 (3代目)

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