読本『椿説弓張月』続編 巻之一挿絵 よみほん ちんせつゆみはりづき ぞくへん まきの さしえ jpshohi28

読本『椿説弓張月』続編 巻之一挿絵 よみほん ちんせつゆみはりづき ぞくへん まきの さしえ

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読本『椿説弓張月』続編 巻之一挿絵 よみほん ちんせつゆみはりづき ぞくへん まきの さしえ

葛飾北斎筆
曲亭馬琴作
墨摺半紙本(六冊)
版元 平林堂庄五郎
縦 22.6cm
横 15.6cm
文化五年(1808)
 源為朝は平清盛征討のため肥後(熊本県)を出発しますが、その途中を大暴風雨にさまたげられ、多くの家来を失います。高間太郎・磯萩も為朝の厚い信頼を受けた夫婦でしたが、この大嵐から逃れられないことを悟った二人は、霊魂となって為朝を守護しようと悲壮な決意を固め、大波の逆巻く中で自害して果てるのです。
 高間太郎はいままさに白刃を腹に突きたて、先立った磯萩を追おうとしています。ここでは高間の弓なりにそり返った悲憤の形態が、この画面を構成する形体の基本的モチーフとなっています。刃、巌、波、ここではすべてのものが太郎と同じ形をとっています。そしてそれらはみな太郎の腹に運動の方向を向け、あるいはそこを中心点として放射状に拡散しています。
 高間太郎の悲憤と怒り狂う波濤の二つがかさなり共鳴しあい、いつしか耳を聾するような荘厳な大音曲となって、画面いっぱいに響きわたっています。
 「高間磯萩洋中に自殺す」は、読本の現実を超越したドラマの世界に対する北斎の憧憬と空想力が、彼独自の考えぬかれたユニークでダイナミックな画面構成と完全に一体化して生みだされた、北斎のロマン主義的芸術の傑作です。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika

Wikipedia Hokusai Katsushika

ウィキペディア 葛飾 北斎

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