読本『墨田川梅柳新書』巻之一挿絵 よみほんすみたがわばいりゆうしんしよまきのいちさしえ jpshohi30

読本『墨田川梅柳新書』巻之一挿絵 よみほんすみたがわばいりゆうしんしよまきのいちさしえ

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読本『墨田川梅柳新書』巻之一挿絵 よみほんすみたがわばいりゆうしんしよまきのいちさしえ

葛飾北斎筆
曲亭馬琴作
墨摺半紙本(六冊)
版元 鶴屋喜右衛門
縦 22.6cm
横 15.6cm
文化四年(1807)
 初花と春風、この二人を結ぶ線と左右に翔びたつ水鳥はちょうどX字形にまじわり、この画面は対角線の構図をとっています。
 物語の挿絵とはいえ、自殺という、人間の悲劇の極限の状況を劇的に描ききったこの図は、現代のわれわれには当然のことながら、当時の人々にも大変にショッキングな作品であったでしょう。
 このような題材をこのような形でとりあげようとする人物は、北斎以外にはいなかったのではないでしょうか。
 明治十八年(1885)、「月百姿」のシリーズの中で月岡芳年は「飯能川晴雪月、孝女ちか子」の入水の場を描きましたが、それが北斎のこの図に倣ったものであることはいうまでもありません。しかし芳年の絵が、画面を冷厳な絶望感で塗りこめようとするのに対し、北斎のこの作品には、悲劇を耽美の世界に移しかえようとする、一種のロマンチシズムに通ずるような意志が働いています。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika

Wikipedia Hokusai Katsushika

ウィキペディア 葛飾 北斎

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