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紀友則(雪晴れ) 春信 jpsharunobu31

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紀友則(雪晴れ) 春信

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紀友則(雪晴れ) 春信

中判錦絵 27.5×21.3cm
落款:春信画 板元:不明
所蔵:リチャード・P・ゲール
 雪晴れの川面を渡る千鳥の群れ、その鳴き声に振り返るお高祖頭巾の女は、いま気がついたように傘をたたみます。うしろに従う小娘はまだ傘をさし、雪の夕の小暗さを伝えるように、蕨乎の模様をつけた提灯をさげています。川は、ゆるやかなうねりをつくって斜めに流れ、瀬音を破る千鳥の鳴き声が、かえって雪の中の静けさを印象づけているようです。
 流れの水は薄藍があせて茶変していますが、当初は紙の素地をいかした雪の白さと相映じて、雪の宵の薄明の感じを誤まりなく描き伝え、登場人物をくっきりと浮かび上がらせていたことでしょう。とりわけ、黒の頭巾にかこまれた女の顔は、この図の焦点ともなるべく鮮かな白に輝いています。紙地の白を充分に活用した、むだのない色彩表現です。
 図上の雲形には、「紀友則」の歌人名と、「夕されハ佐保の川原の河風に友まとハせて千鳥なくなり」という、この図の原典となった有名な古歌が記されています。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

Wikipedia Suzuki Harunobu

ウィキペディア 鈴木 春信

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