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野分 春信 jpsharunobu25

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野分 春信

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野分 春信

中判錦絵 27.3×20.0cm
落款:鈴木春信画 板元:不明
所蔵:リチャード・P・ゲール
 柳の枝を吹き流し、稲穂や野菊の茎を倒すほどの野分に襲われて、遊山の逍恚に郊外へ出た二人の女性が風に悩んでいます。紅の振袖を風にまかせて笠をおさえる年若の娘と、裾の乱れをかくそうとする黒の小袖を着た女とは、いずれも鰯々たる姿態をつくって、春信美人の繊美な風情とさわやかな気品を匂いたたせています。明晰な直線の働きを故意に排し、まろやかな曲線のみをくりかえし踊らせて、画面に軽快な勤勢とリズムを生み出す画家の意図が、目に見えぬ秋風の描写を巧みに果たし終えているといえましょう。
 本図と似た主題の春信画に、岸辺の柳が葉を散らす強風の中を、振袖姿の娘が橋を渡る錦絵があります。その画面上部の雲形には、「風流六冊仙 文屋康秀」と題して、「吹からに秋の草木のしほるれはむへ山風をあらしといふらん」の和歌一首が記されています。春信が本図を作画する動機に、右の歌意に通ずる詩的情趣が準備されていることを知るべきです。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

Wikipedia Suzuki Harunobu

ウィキペディア 鈴木 春信

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