夏 国直
大判錦絵 揃物 39・0×26・6cm
落款:國直筆
板元:? 極印
国直は歌川派ながら、洋風を試みたり、北斎に私淑したこともあって、構図がこまかく、描写もときに過ぎたきらいがあります。この図もその癖が出て、髪洗いのほかに、うなじを鏡面にうつしたり、体の一部を綾張りの向うに透かして見せたり、幼児をしきりにまつわらせたりして、道具立てを多くしたため、描写の焦点が拡散した点はいなめません。しかしその部分部分の描写は的確で、カッキリしながら柔軟で抑揚ある描線は、豊満な女体を見事に描き出しています。配色もよく、線の布や、畳の草色が、題の通りの夏の気分をよく表しています。改印から文化八年(一八一この作と知られます。
類似デザインで、「冬」の外題をもつ同じ絵師の作品(第253図)もありますから、春と秋も作ったかもしれませんが、まだ紹介されたものを見ません。
歌川豊国 Utagawa Toyokuni

夏 国直 jpstoyokuni58
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