丑の時参り 春信 jpsharunobu02

丑の時参り 春信

ライン

丑の時参り 春信

中判錦絵 28.3×20.8cm
落款:鈴木春信画 関根何影刻 明和二年絵暦
所蔵:シカゴ美術館
 画面の右端に見える鳥居の脚によって、この場が神社の境内であることを知らせ、一樹の杉の大木に、うっそうとした神苑の森を暗示させます。描かれる物象に記号としての意味を与える、いかにも春信らしい象徴的な環境表現がなされています。いましも古木に釘を打ちつけようとする垂れ髪の女は、「その時参り」の姿を描くものでしょう。
 丑の時参りとは、丑の時(今の午前二時ごろ)に人目を忍んで神社に詣で、境内の古木に呪う相手をかたどった藁人形を打ちつけて、その人を傷つけ、あるいは死なせようとする、恐ろしい呪的行為の一種です。しかし、この図には、そうした俗信のもつ暗い陰湿な妖気というものがまったく見受けられません。嫉妬深い女の執念を、陰惨な業として伝える原型の俗信にかえて、春信は、乙女のいだく愛すべき恋のジェラシーとでも見立てているようです。
 女の着衣にはめこまれた大の月を表す数字によって、この図が、明和二年の絵暦として作られたことを知ります。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

Wikipedia Suzuki Harunobu

ウィキペディア 鈴木 春信

About the author: 重右衛門