藤原元真(夏は来ません) 春信 jpsharunobu18

藤原元真(夏は来ません) 春信

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藤原元真(夏は来ません) 春信

中判錦絵 27.6×20.6cm
落款:春信画 板元:不明
所蔵:フラデルフィア美術館
 初夏の陽光もまぷしい、とある家の庭先で、洗い物を物干に干す母親の脇を、幼い子供が飼い鳥を迫いかけて通って行きます。平安無事な家庭生活のひとこまであり、主として遊里や芝居町に取材の場を限定した従来の浮問絵にはまれな、平々凡々の場景が強いて選ばれています。それにしても、家庭内の平和な相を伝える春信画に、父と子を描く図がほとんど見当たらないのはどうしたことでしょう。
 ’きめこみ”の技法であらわされた垣根の卯の花は、降り積もる白雪と見まがうばかりに色はえて、ことさらに印象深いです。いまは腿色しているが当初はうす藍でいろどられていた背地に浮き出し、より一川鮮かなものであったろう。この図でとりわけ強調される卯の花の表現が、画面上部雲形のうちに記された藤原元真の占歌「咲にけりわか山咀の卯の花はかきねにきへぬ雪と見るまて」の歌意に由来していることは、ここにあらためて記すまでもありますまい。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

Wikipedia Suzuki Harunobu

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