藤原敏行朝臣(秋風) 春信 jpsharunobu22

藤原敏行朝臣(秋風) 春信

ライン

藤原敏行朝臣(秋風) 春信

中判錦絵 28.2×21.2cm
羨霜春信画 板元:不明
所蔵:熱海美術館
 雲形のうちに「秋きぬと目にはさやかに見へねとも風のおとにそおとろかれぬる」と記された藤原敏行の和歌は、季節の推移に鋭敏な日本人の心をうたい、古来広く親しまれてきましました。春信はこの歌意に中国の『。淮南子』にいう『一葉落ちて天下の秋を知る’』をさらに重ね、庭前の梧葉をはらはらと散らせています。湯上がりのしどけない姿で立つ美人が、庭の池をわたってくる涼風にふと訪れた秋の足膏を聞くという、一編の生活詩を描きうたったものです。
 この図でことに注目したいのは、色面の配置にみせた春信の周到綿密な計算です。水面の薄い藍色から岸辺の灰色、そして衝立の深い藍へと、吹きわたる風を冷感色の明度の差によって感じさせようとするもくろみは、みごとな成功をおさめています。曲線の乱舞で野分の激しさを伝えた春信は、画面にほどこす色彩をあやつることによって、目に見えぬ風の動きを示そうとしたのです。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

Wikipedia Suzuki Harunobu

ウィキペディア 鈴木 春信

About the author: 重右衛門