夜の梅 春信 jpsharunobu07

夜の梅 春信

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夜の梅 春信

巾判錦絵 32.4×20.9cm
落款:なし 板元:不明
所蔵:メトロポリタン美術館
 暗香浮動。どこからともなくただよいくる梅の芳香にいざなわれて、深窓の娘がひとりF燭をとり、間につつまれた廊下へと出ます。庭前の老梅は、なかば花弁を開き、なかば蒼をふくらませた枝をのばして、燭の明かりに、香りの源であるおのが姿をさらし出します。悩ましい春の夜の幻想的な情景が。対角線構図の繊細な均衡のうちに、的確に描き出されています。
 夜の間を表す曜一色の背地は、春信が好んで用いた手法の一つです。描写に区々たる合理性を求めず、色而の大胆な配置によって簡潔に場景を設定する象徴的な表現は、まさに彼の浪漫的なモティーフと合致し、調和するものでしました。夜間に浮かぶ白梅とその香をたずねる楚腰の美人との出会いという、いかにも春信らしい清雅な詩想は、こうした背色の効米的な使川によって、はじめてその造形を完結したといっても過言ではないでしょう。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

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