耳をそばだてて 春信 jpsharunobu06

耳をそばだてて 春信

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耳をそばだてて 春信

中判錦絵 28.5×20.9cm
落款:なし 板元:不明
所蔵:リチャード・P・ゲール
 夏の宵、雨戸をたて、蚊帳をつっていた女が、その手をやすめて遠雷の音に耳を傾けているところでしょうか。かたわらに火をともされた行灯が立てられ、畳には団扇が投げ出されています。この図の初版は明和三年の絵暦として作られたもので、それには団扇に年号、女の帯に大の月の文字があります。
錦絵の創始期によくみられた、絵暦を一部修正して商品川の版画とした一例です。
 まがまがしい生きもののように重く垂れおちる濃緑の蚊帳と、明確な直線がかっきりと区画する障子や行灯に囲まれて、流麗な曲線にたおやかな挙措をとる美人のポーズが、より優美にきわ立たされています。春信描く美人は今にも消えいりそうな繊弱さを特色としますが、そのはかなさを支えてさらに美質を強調するのが、確かに仕組まれた背景の描写である、色数に制約のあった紅摺絵時代には、とかく背景への配慮が尽くされないうらみを残しましたが、錦絵の段階に進んだいま、それは主題への奉仕に欠かせない道共立となったのです。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

Wikipedia Suzuki Harunobu

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