縁先美人 春信 jpsharunobu16

縁先美人 春信

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縁先美人 春信

中判錦絵 28.7×21.6cm
落款:春信画 板元:不明
 障子にうつる人彫は、宴楽たけなわの室内のにぎわいを伝えます。その座敷を抜け出して縁先にたたずみ、物想いにしずむ白衣の遊女は、かなしくもあわれな風情をただよわせています。「歓楽きわまって哀情を知る」。浮いた世界に暮らす女の、深い心の痛みを感じるほどに、春信の人間観察は鋭く、また優しいです。縦や斜めに走る直線が、冷たく、突きさすように女の周囲をとりまき、とらわれの身の遊女から自由を奪う、鳥腹のようにすら兄える。
 障子にうつる彫の描写は、ほかに「松の影」などでも見るように、春信の作品に珍しくありません。このような光と影に対する注視は、はやく元禄の風俗画家英一蝶にも認められますが、日本の画家一般を考えるとき、春信の場合も注目に価する新鮮な視覚の働きといえるでしょう。いちはやく西洋画の学習に進んだ平賀源内と、親しい交友関係にあったと伝えられますが、尚古趣味一辺倒と思われがちな春信が、一面では意外に近代的な感覚をも兼ね備えていたことを忘れてはなりません。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu

Wikipedia Suzuki Harunobu

ウィキペディア 鈴木 春信

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