婦人泊まり客之図 歌麿
大判錦絵 三枚続 右36.9x25.0cm 中36.9×23.6cm 左36.7×24.9cm
落款:歌麿筆
板元:鶴麗喜右衛門
所蔵:高橋コレクション
三枚続きの大画面に、黄のパックに緑の蚊帳がいっぱいにひろがります。そして蚊帳の内外に六人の女性を配した構図は、三枚続きという浮世絵版画独特の構図法の面白さを充分に示す作例です。
この大錦三枚続きという画面構成は、清長の創案といわれる。一図で充分鑑賞にたえる作品を続き絵とすることによって、さらに画趣深い画面構成となるというものです。本図は、その三枚続きの特性が生かされた作品といえます。そして蚊帳の内の三人をすわらせ、蚊帳の外の女性たちを立たせることによって、茫体感を表現したばかりでなく、歌麿の色彩感覚の優秀さを示しています。ただ、立像の姿態の描写に、歌麿のライバルといわれる鳥文斎栄之の創案した十二等身に近い、丈高い姿態夫描写法の影響がみられるような感じがしてなりません。
喜多川歌麿 Kitagawa Utamaro