三代瀬川菊之丞大首 豊国 jpstoyokuni17

三代瀬川菊之丞大首 豊国

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三代瀬川菊之丞大首 豊国
大判錦絵 36・8×24・8cm
落款:豊國画
板元:上村与兵衛極印
 前図とはなはだ似た落款で同版元、そして画面を形成する版技法の調子までまったくといってよいほど等しいです。構図的にも前図と呼応するものを持ち、そして何よりも前図同様、いなむしろそれ以上に放射してくる、絵師豊国の、恐ろしいまでの造形気迫の緊密な相通から、私はこの絵を前図と併陳しました。俳優は特徴ある路考口と結綿の紋から三代瀬川菊之丞と知られ、同じ『江戸花赤穂塩竃』の由良之助女房おいしかと思われます。武家女房風のみなりはこの推定の可能性を強めます。簡潔な衣服の線描内には量り知れぬヴォリューム感肩盛られ、薄茶色の輪郭線が形作る下ぶくれの顔とくびれた手つきは、この名女形の色気あるふくよかな芸質と貫禄とを表現しえてあます所がませません。髪と上着の襟に用いた強い艶墨の間に挿入した描絆の薄墨の輪郭が色調緩和の役を務め、この部分に引いた薄い雲母が、えもいわれぬやわらか味を出しています。上着襟元にわずかにあしらった菊はこの俳優のシンボルですが、色調の単純さを救う点、豊国の着眼は心憎いです。彼の女形大首絵中、最も強い印象を受ける秀作であります。
歌川豊国 Utagawa Toyokuni

Wikipedia Utagawa Toyokuni

ウィキペディア 歌川豊国

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