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皐月雨の図 豊国 jpstoyokuni31

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皐月雨の図 豊国

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皐月雨の図 豊国
大判錦絵揃物 39・0×38・5cm
落款:豊國画
板元:西村屋与八 極印
所蔵:酒井コレクション
 外題の皐月雨は「さつきあめ」ともよめますが、優婉な美人画の題ですので、やわらかく「さみだれいとよびました。菖蒲葺く軒先の縁の柱にもたれ、五月雨のそそぐ庭に面して、しどけない姿の美人が文読む風情ある構図であります。軒菖蒲は平安朝中期頃から一般に伝わる風習で、五月四日の夜、軒にしょうぶを葺くのですが、一茎か二茎ずつに蓬を添えて葺くのが常で、この図中にもそれらしいものが見えます。火災を避けるまじないといわれますが、五凋を象徴する風物詩の一つになっています。この絵では庭にさらに五月躊躊の株を添え、季節感が横溢しています。バックを鼠潰しにしたのが、暗誉な長雨にとざされた空気を思わせ、白く抜いた雨足が湿気を含んだ実感をさそいます。美人の顔は細面で切れ長の目尻がやや吊り上がった女形沢村田之助タイプ、下着にはおった禰推姿に文化末特有の侠艶美を感じます。白い素足の甲に一方の足をもたせた描写には絵師の写実眼が見られます。十二か月の各月を描いた十二枚揃い物の一枚であります。
歌川豊国 Utagawa Toyokuni

Wikipedia Utagawa Toyokuni

ウィキペディア 歌川豊国

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