国貞 唐人踊り
大判錦絵 三枚続 右37.0×25.3 cm
落款:五渡亭國貞画 板元:山本尾平吉 極印
所蔵:静嘉堂文庫
文政期に異常な流行を見せた見世物に唐人踊りがあります。一名看々踊、清楽で「看々今」と唄い始める玖連環に淵源するといわれます。当図左端の小屏風に描かれた清人の扮装で銅羅・胡弓・蛇皮線等の合奏に合わせ「かんかんのう」と唄い踊りさらに蛇踊りを添える雑芸でした。長崎に始まり、大阪にもたらされ、やがて江戸へ紹介されました。文政中期が流行のピークで、同五年春葺屋町河岸の見世物に出た由を『武江年表』は伝えます。当図は小粋な芸子が、この唄を唄いつつ拳に興じる状を描きます。揃いの雀小紋の着付けに時世粧がうかがえ、すっきりした好みを示します。
歌川 国貞 Utagawa Kunisada