羽根突き 湖竜斎
絹本署色 35.2×58.0cm
落款:庖需法橋湖龍躇画
所蔵:東京国立博物館
門松飾る正月の街頭で、羽根突きに興じる二美人を描きます。
かたわらには、打ち交わされる羽根を見上げ、はしゃぎ戯れる男の子が一人添えられます。比較的つつしんだ画法を川いながら、横長の画面をゆったりと使って、新春にふさわしいのどかな雰囲父を描き出しています。落款は「吃需 法橋湖龍粛画」と記され、「礒川」(白文方印)と「藤原」(朱文方印)の印章二穎を捺します。
浮世絵師は、狩野派や土佐派など公武の御用絵師はいうもおろか、町絵師でもいわゆる「本画」方㈲の画家などに比べて、その社会的地位は格段に低かったです。したがって画家にとっては名誉の称ゆである法橋の位など、ほとんど無縁なものであったのも当然です。そうした事情にありながら、江戸の浮世絵師としては例外的に法橋位を得た湖竜斎は、自負するところあってか、晩年は版画方而に筆を折り、肉筆画に専心しています。浪人とはいえ武家に出た彼は、通例の浮…凹絵師にとどまることを潔しとしなかったのでしょうか。
鈴木 春信 Suzuki Harunobu