婦女人相十品・煙草を吸う女 歌麿
大判錦絵揃物 37.3×25.2cm
落款:相観 歌鷹考両
板元:蔦屋重三郎 極印
煙草は、ふつう慶長年間(十七世紀初頭)に南蛮人によって将来されたといわれ、天正文縁のころからしばしば禁煙の布令が行なわれましたが、喫煙の風習はなくならなかったといいます。
そして江戸時代中期からは黙認のかたちとなりました。
歌麿は、身分高下の風俗分類描写を日的として、「婦女人相十品」と題したといわれているが、この肌もあらわな湯上がりで一服する女性の姿は、退廃美を感じさせるばかりではなく、開放された女性の何気ない色気をあらわしています。歌麿は、そのムードを、肌もあらわな着付け、無造作に結んだ前髪、入浴のために結んだリボンなどの描写により、いっそう効果的なものとしています。そして彼は、その効果を高めるために、パごクを雲ほ摺りとした効果を充分活用した作品です。
喜多川歌麿 Kitagawa Utamaro