役者絵 春好
細判錦絵 二枚統 46図32.8×14.4 cm 47図33.0×14.5 cm
落款:春好画 板元:不明
所蔵:酒井コレクション
三代沢村宗十郎の十太郎 /四代岩井半四郎のおりえ(「太平記忠臣騰釈」寛政元年六月市村座)
紀の国屋訥子三代沢村宗十郎は幼名田之助、七歳で初舞台をふみ、享和元年三月、四十九歳で没するまで精力的に出演しています。人品男振りよく、大柄で、和事の名人で武道太刀打ち所作一つとして申し分がなかったと評されます。大和屋杜若四代岩井半四郎は人形使いの辰松重三郎の子、寛政十二年春中村座の長兵衛女房お時を最後に同年没する(五十四歳)まで、花実兼俯の若女形、「愛敬は世界一杯に満つ」と評され、お多福半四郎と呼ばれました。
この二人とも浮世絵師の好画題で、写楽その他役者絵全盛時代の巨匠たちに描かれ、舞台図や似顔絵など遺存するものも少なくありません。この細絵は保存がよく、初摺りの刀痕も鮮かで、申し分ない遺品です。私はこのような完好品をみるまでは、春好も春英もはなはだ見劣りする画家と思っていました。
勝川春好 Katsukawa Syunkou