新板阿蘭陀浮画亜細亜洲巴必鸞城 国長
大判錦絵 23・0×37・2cm
落款:國長画
板元:和泉屋市兵衛
所蔵:座京国立博物館
これも前述の七奇の一つ。フェルビースーは、「亜細亜洲巴必鸞城」と題して、「孫弼辣米徳王后、創造京都城池。形勢矩方、毎方長五十里、周囲計二百里云々」とその状を記しています。巴必鸞城はバビロン城で、この国の伝説的女王セミラミス(Semiramis)が首都に構築した巨城。四角形で一辺が五十里、城門百箇所にあり、すべて浄銅製、町にめぐらした城壁は、高さ十九丈、厚さ四丈八尺。美石でたたみ成しました。城楼の上には庭園があって樹木が景趣を造り、山の水を引き入れてたくみにあしらい、湧き流れる小川の状を写してあったといいます。国長のこの図は城門のあたりでも描いたのでしょうか。『虞初新志』の図にならってはいますが、全体を浮絵風になおし、南国風の樹木や洋船等、大胆に異国情調を発揮させた図柄にしています。なお七奇とは前掲二者の他に、③尖形高台④茅索禄王螢墓⑤供レ月祠廟⑥木星人形 ⑦法羅海1 高台を数え、国長の作品に⑤⑦以外を見ていますから、未見の作品も作られている可能性があります。
歌川豊国 Utagawa Toyokuni