本所立川 ほんじょたてかわ Honjo Tatekawa. the timberyard at Honjo.
現在の東京都墨田区立川を描いたもので、隅田川にそそぐ竪川の両脇に並んでいた材木問屋を描いています。高く積み重ねられた材木の間から見える富士。遠近法を駆使した北斎得意の構図です。手前に細くまっすぐに描かれている材木の描線は、彫師にとってはの高度な技術が要求される部分で、腕の見せ所でもあります。
画中右下の立て掛けた材木等に、右から「馬喰丁弐丁目角 西村」、「西村置場」、「永壽堂仕入」、「新板三拾六不二仕入」などの書き入れがあります。したがって、裏富士シリーズの最初の一枚目の可能性が高い作品と言えます。
表富士で意表を突いた構図として好評であった、「遠江山中」の木挽きスタイルを中央に置いたのも、新版としての意気込みを物語るものです。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika