北国五色墨・切の娘 歌麿
大判錦絵揃物 37.5×24.9cm
落款:歌麿筆
板元:伊勢係
所蔵:洒井コレクション
新吉原の遊廓は、江戸の北にあたる浅草千束の地にありましたので、江戸の人々は、北里とか、北国と呼びました。そして廓の内、東側と西側は川岸になっています。そこらには切兄世といって時間を限って客に接する女性のいる、局艮麗とか鉄砲見世などという下等な遊女屋が軒をつらねていたと伝えられます。本シリーズは、「おいらん」、「芸妓」、「てっぼう」、「川岸」そして本図「切の娘」の五図で揃いとなるものです。
恋しい男からとどいた便りに小躍りでもするような女性の姿からは、切兄世の女性という境遇の啼さは感じられません。
本図は、ことに保存状態がよく、今摺り上がったといってもよいほどの鮮かな色彩です。
歌府の好んで川いた疋田絞りを故らした紫の阻E衣に、仙絆の朱が、バックの黄潰しと調和して、彼女の衣情と両腕の白さを印象深いものとしています。
喜多川歌麿 Kitagawa Utamaro