御厩川岸より両國橋夕陽見 おんまやがしよりりょうごくばしゆうひみ Sunset across the Ryogoku bridge from the bank of the Sumida River at Onmayagashi.
現在の東京都中央区東日本橋二丁目と東岸の墨田区両国一丁目を結ぶ両国橋を描いたもので、群青のシルエットとなって浮かぶ冨士は、富嶽三十六景のシリーズの中で最も叙情的に描かれた作品といえます。うっすらと染まっていく夕暮れの空。遠景は輪郭線を描かず、まるで影絵のようです。どこか物憂さすら漂う幻想的な風景。北斎の作品としては珍しい、全体的に静かでやわらかな印象の作品です。
隅田川の東岸から両国橋の向こうに、夕暮れ時の富士を見る作品です。墨の天ぼかしが画面を引き締め、残照に照らされる富士の陰影が効果的に描かれています。多くの解説によって、船頭の禿頭を中心に、両国橋と渡し船とが点対称になっていることが指摘されています。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika