羅得島湊紅毛船入津之図 国虎
大判錦絵 26・6×38・2cm
落款:一竜斎国虎画
板元:山本平吉極印
所蔵:座示国立博物館
中国に赴いたベルギーの宣教師フェルビースト(FerdinandVerbiest 1623-88)が、南懐仁という串国名で、世界の七不思議を漢文で紹介した「七奇図説」という文があります。『虞初新志』に収められ我国にも舶載して読まれましたが、この七奇のうちに上古にあったという楽徳海島の銅人の巨像を図入りで挙げています。この像はなお後に江戸の進歩的知識人森島中良が『万国新話』に、さらに司馬江漢が『和蘭通舶』(文化二年)にともに図入りで紹介しています。これらによると、この銅人は名はコロシュス、地中海上、トルコ領のロデス島港口に両岸の石台を跨いで立ち、高さ三十丈、股下を大船舶が往来しました。足の入口から螺旋階段が体内を廻って左手掌上に通じ、ここに据えた燭台の燈火が、夜は船の進路を照らしました。十余年がかりで落成しましたが、大地震のため倒壊沈没したといいます。この『万国新話』の図により、国長と国虎がこれを描いていますが、国虎の方のこの作には顔・持物・背景に独自のアイディアを盛り込み、強烈な印象を見る者に与えます。
歌川豊国 Utagawa Toyokuni