倣梁楷黄初平図 ほうりょうかいこうしょへいず Figure that mimics the Kousyohei of ryoukai. 雪舟 Sesshu
重要文化財 紙本墨画 一幅 30.2×30.6cm 神奈川 川端康成記念会
倣梁楷の画題のある作品は、一連の画巻形式になったものから分離した作品てある。恐らく雪舟が入明した折に当地の画院か、収蔵された所蔵者から出してもらった宋元時代の画家の作品からヒントを得て、画様画法別に彼が取材したものてあろう。しかもそれらの絵画の要所をつかみ、画家の特色ある筆法を捉え、一定の円窓形の大きさに作図したわけて、中国画摂収の態度がここに集約されていると解釈される。いわば中国画の特色を、一巻の手控に収めたノートと考えてもよい。それ故に、画面の右か左の隅に中国画人の名を書しているのてあろう。この原図の筆者は梁楷てあったろう。全く同じ図てあったかは疑問てあるが、人物描写の描線、樹木に見せた特色ある筆法を捉えて、梁楷画様にこの図をまとめたものてある。
画題の黄初平は中国晋時代の仙人、丹硲の人て金華山の石室に住し、羊を飼っていて、初平がその山の石を鞭打てば、皆白羊に成ったという故事の人物である。現を他の同種の作は失われているが、狩野常信が模写したものに、張果老などの『列仙伝』に出てくる仙人を描いたもの(描34)があることから、禅宗的感覚で、この種の画題を描いたものと思われる。
Sesshu 雪舟