東海道五拾三次之内26番目 掛川宿 かけがわ Tokaido53_26_kakegawa 画題:「秋葉山遠望」 現在の静岡県掛川市で、掛川宿は日坂から7.1キロメートル。
この掛川の宿外れにある塩井川の土橋を中心に描いたのがこの絵である。
向こうから供をつれた僧侶がくる。往きちがう老夫婦の旅人が、腰を曲げて慇懃に挨拶しているもの、僧侶を敬い、後生を願う昔の老人の気配もしのばれる一情景である。掛川、つぎの袋井から浜松あたりの平野では凧あげが盛んである。沖天にあがっている凧や、糸が切れて飛んでいく凧が画面に動きを与えている。遠くに見える峻厳な山は秋葉山である。掛川から秋葉山へは32キロメートル。東海道で庶民の信仰をあつめていた三尺棒権現によって知られている。右手の田圃で田の草をとる納付の姿、橋の上の里の子に夏の暑さを見せている。僧侶の胸もとに汗がにじんでいるようにさえ見える。
歌川 広重 Hiroshige Utagawa