駿州江尻 すんしゅうえじり Ejiri in Suruga Province.
現在の静岡県清水市の江尻を描いたものです。風という目に見えないものを大変リアルに描くという北斎の才能が発揮された作品です。無限、不動を感じさせる富士と、その前で一陣の風にさえ右往左往する人間の存在の小ささを対照的に表現しようとしたのでしょうか?イギリスの写真家ジェフウォールが影響をうけたことで海外の方々には有名な作品となっています。
一瞬の突風によって旅人の懐紙や菅笠が舞う様を、連写撮影のように描く傑作です。菅笠を飛ばされた旅人の担ぐ天秤棒の荷物は、風の力で浮き上がっています。懐紙が飛ぶのは当たり前、それ程の強風なのです。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika