梅下美人 師政
紙本著色 84.6×27.1cm
落款:古山師政画
所蔵:東京国立博物館
そのぬしは 誰そや 素顔の うめ一木 色をも香をも しる人そしる 墨荘主人題(花押)
墨荘主人とは誰であるかにわかには判じ難いが、非常に違筆で加賛になれた粋人のようであります。古山師政は菱川師宣の門人の中でも出藍の人で、版画に肉筆にと手ぴろく活阻しているけれども、スケールは到底師匠に及ぶものではなかったようです。それにしても才筆であったとみえ、その両様式は師宣の風から抜けて一塊を示しています。この美人図でみても、師宣風のところはまったく見当たらず、むしろ長春や祐信の配下にちかい。線性格は洗練されて流麗、着彩施文も細緻で、すぐれてはいますが、それだけに意欲的な創造性に乏しいうらみがあります。製作年代は宣永~延享というが、この図はその晩期にくだるでしょう。
古山師政 Furuyama Moromasa