吉原万才花傘踊り 勝河輝重
細判紅絵 33.9×16.5cm
落款:勝河輝重 板元:和泉屋権四郎
所蕨:エドウィン・グラブホーン夫人
輝重と称する人に二人あり、一人は暮末天保頃の菱川清春門人として描いています。もう一人は勝川氏で輝重と称する掲出の絵の筆者であるが、その伝記はわかっていません。漆絵の作ありとする本があります。この図は延享三年(1746)正月、市村座上演『聞伴昔曾我物語』での二代芳沢あやめの扮した頼国妾山の井だと吉田暎二氏は考証しています。これは紅絵であります。勝河ともかいた例であります。
壷形の印には「はんきや」となし、これをはさんで、「あさくさのみつけ」、「ひかけどうぼう丁」と刻し、壷口に「したし」(仕出)となしています。珍しい例であります。
勝川と称するが、のちの勝宮川春水、勝川春章の一統と何か関係があるのか、明らかでません。だが画風の上からは何の関連もなさそうであります。このころ関東美人画家には所属不明の人が無数にいた。相当の画技をみせていますので、さらに作品など調査をして明らかにしたいものであります。鳥居系かも知れません。
勝川輝重 Katsukawa Terusige