花鳥図屏風 かちょうずびょうぶ Flowers and birds figure screen. 雪舟 Sesshu
重要文化財 1483年(文明一五) 紙本着色 六曲一双 各181.6×375.2cm
本屏風は落款印章はないが、花鳥図屏風絵中最も優れている作品てある。構図は右隻に鶴に松、左隻は枯木の梅に白鷺が大部分を占め、空間のとり方の大きさに、雄大な気分が漂う。部分的には四季の草花や鳥類をあしらい、外部には出ないが、忠実な写生体が繰り広げられている。この写生的な鶴や鷺及び小禽類は、実に絶妙な筆法て描かれ、生けるようにその生態が描かれている。しかもこれらの鳥の大部分が日本に見られるところから、雪舟がこれらの多くを写生していたことは、間違いない。つまり山水画はもちろん、人物画(祖師図、禅機図、道釈人物図)や、この草花禽獣の類まて、ことごとく自己の画域に組入れることが出来だのは、それだけ幅のある雪舟芸術に発展したわけて、まさに絵画専門とする画師の資格を充分に備えた人となったことを証する。彩色法も淡彩仕立ててあるが、明代花鳥画の様式が窺われ、実在感と抒情性が強く感じられる。
屏風という大画面に展開した雪舟画業が、このように大自然を捉え、しかも連続した広く大きい画面に四季感を流しながら、その移り変りを作図したことは初めててあろう。入明した雪舟の彼の地の「四季花鳥図」からの影響てあろうが、四幅対の構想と、連続した大画面に何等不自然さを感じさせずに描き上げたこの画才こそ、優れた雪舟の画技が卓越したからに他ならず、これを証するに足るものてある。悠々たるこの画面の展開は、大成した者のみが自由に行ない、到達し得る画域なのてある。
Sesshu 雪舟