東海道五拾三次之内48番目 坂下宿 さかした Tokaido53_48_sakanoshita 画題:「筆捨山頂」 現在の三重県亀山市で、関から6.5キロメートルで阪之下。
筆捨山を眺める街道の茶屋を描いている。この筆捨山は岩根山という山であるが、狩野元信が、あまりの風光の美しさに、力及ばず筆を投じたという話から筆捨山と呼ばれるようになったという。
全山岩山で、岩間に古松が生えた美しい山で、この美しい景色を眺める目が、右手の見晴らし茶屋の描写といえよう。この茶屋には休むさまざまな人物が牛を曳く農夫の姿の描写が実に巧みに描かれていて、この右隅だけで立派な絵といえる。それだけに、筆捨山との間に違和感があるような気もする。
歌川 広重 Hiroshige Utagawa