東海道五拾三次之内16番目 由比宿 ゆい Tokaido53_16_Yui 画題:「薩多嶺」 現在の静岡県静岡市清水区で、蒲原宿から3.9キロメートルで由比宿である。
蒲原をすぎると山は海に近くせまる。この海が清見潟である。古くは海の干潮の時に海岸ずたいに通った危険なところであったが、明暦元年九月に朝鮮から使節がきた時、山を切り開いて街道を通した。これが薩多峠であり、東海一の難所であった。
ここの眺めは、「此所富士山鮮やかに見えて、東海道第一の風景なるべし」と名所記のもある通り、ひろびろと開けた駿河湾、沼津から続く曲汀の眼をみはらす景色であったろう。左での峠道の断崖の上からこわごわとこの絶景を眺めている旅人を描いている。
歌川 広重 Hiroshige Utagawa