東海道五拾三次之内15番目 蒲原宿 かんばら Tokaido53_15_kanbara 画題:「夜の雪」 現在の静岡県静岡市清水区で、吉原から富士川を船渡しで越し、小池村をすぎて11.2キロメートル、蒲原へ入る。
森々と降る雪の中に、人家も遠山に埋れ、眠っている。深く積もった道を三人の町の人がふんでいく。静かな雪の夜に、雪を踏む音がかすかに聞こえる思いがする。保栄堂東海道中第一の傑作であり、雪景では最もすぐれた作となっている。
東海道筋には雪は少ない。たまたま蒲原を雪景として描くことにしたのであろう。実景にとらわれずに、発想にままに描いたからこそ、この傑作が出来たのであろう。私達はこの絵で、蒲原という土地にこだわらず、夜の雪景色を鑑賞すればよい。
歌川 広重 Hiroshige Utagawa