倣李唐牧牛図 ほうりとうぼくぎゅうず Figure that mimics the Bokugyu of ritou. 雪舟 Sesshu
重要文化財 紙本淡彩 双幅 各12.5×151.5cm
李唐は十二世紀前期、宋朝画院に活躍した画家であった。夏圭より少し早く徽宗皇帝の作った画院に入り、画院待詔となり、郭煕等と共に、院体山水画風のもとを築いた画人として著名である。いわば夏圭のもとという意味で、雪舟も敬していた画家の一人であった。しかし夏圭の画様とは異なり、画面のどちらかに広く開けてゆく空間と解放的気分が漂っているのが特色であるが、それをいち速く掴んでいるわけで、やはり雪舟が中国画摂収の一方法として、構図的展開で李唐の画風をここに学んでいたことがわかる。樹木、竹林、水、土埃に、そして人物への僅かながらの賦彩は図に生気を与え、雪舟が見た李唐画の新しい感覚が彷彿としてくる。ただ古画の模写という面でこれを捉えたのではなく、彼流に解釈して捉えているところに、雪舟の偉大さがある。
Sesshu 雪舟