相州箱根湖水図 そうしゅうはこねこすいず The lake of Hakone in Sagami Province.
現在の神奈川県足柄下郡箱根町を描いたもので、天下の嶮”の箱根を越えれば、芦ノ湖の静かなたたずまいに、丸い山形をした駒ヶ岳、湖水のほとりには箱根神社の森もみられます。富士山も湖水の向かいに頭をのぞかせています。静かで荘厳な空気をもった作品です。
北斎が神仏世界を描く際には、躍動感を抑えた静的な表現を採ることが少なくないと既述しましたが、その典型が「相州箱根湖水」です。「相州江の嶌」では、まだ、写実的表現の風景画と言うことができました。ところが、当該作品では、すやり霞漂う中に、芦ノ湖が波一つなく描かれています。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika
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