役者絵 春好
大判錦絵 37.4×26.7 cm
落款:脊好画 板元:不明
所蔵:高橋コレクション
四代岩井半四郎とニ代市川門之助と三代坂田半五郎
三代坂田半五郎は九代市村羽左衛門の門下で、天明三年冬三代目坂田半五郎を襲名、実悪の名優として人気を得、写楽や春英・春好・豊国らもこれを描いていますが、寛政七年にわずかに四十歳をもって没しました。四代岩井半四郎は天明六年冬、二年ぷりに上方から江戸へかえり、桐座に現れました。ニ代市川門之助は天明六年十一月桐座の『雪伊豆幡揚』での常磐津の所作に出演、評判をとっています。
雪を帯ぶ老梅、暗冥な空あいの雪片、積もる雪原と、かなり写生的な背景のしずんだムードの中に鮮かに描き出された衣裳、糸にのったロマンチッタなリズムの一瞬に、三人の姿と表情、目くばりのつくりなす劇感情を見事に表現した、完好の遺品です。
勝川春好 Katsukawa Syunkou