美人花活け 重政
中判錦絵 25.3×19.3 cm
落款:重政画 板元:不明
所蔵:シカゴ美術館
重政はすでに宝暦のころから作画にはいりました。須く原屋茂兵衛と称する書肆に生まれ、幼にして絵を好みましたので、紅摺絵など版行する機会も早く訪れたにちがいありません。明和の錦絵作興に力をつくし、安永・天明に大成しましたが、春章・豊春と合作し、湖竜斎ともよく、錦絵開創の支柱でした。絵本挿絵にも意を注ぎ数種の名作ある中で「青楼美人合姿鏡」(春章と合作)は最もすぐれ、安永五年の刊で、輩俯の相互彫響から自我を打ち出そうとしています。天明期にはいると彼独自の佳境をひらき、北尾流の特色を歴然と輝かし、門下の政演・政美また師を擁して浮世絵黄金時代を睨んだ。
ここに掲げる「美人花活け」の図は明和の末か安永の初め頃に作るものと考えてよいでしょう。髪型がそうです。また美貌のタイプには春信風が明らかに察せられます。ほっそりとした手指の動き、姿の楚々として、衣文や帯、あるいは五面立方空間の室内構図における人物・器物の配置にいたるまで、春信によって強調表現された、明和の共通感覚です。
北尾重政 Kitao Sigemasa