東扇・扇屋花扇 湖屯斎
大々判錦絵45.5×32.7cm
落款:湖龍斎図板元:岩戸屋源八
所蔵:シカゴ美術館
岩戸屋源八を版元として出されたこの「東扇」のシリーズは、砂川呑章による半身像の役者似顔絵で名商いが、本図のように湖竜斎も一部を担当しましました。
扇面の弧線に添って遊女花扇の見返る姿をおさめ、これをまっすぐに立った禿が支える構図をとります。紙地の余白に仕立て方が記されているように、実際の扇に貼るための実川品として作られたものです。浮世絵版画が江戸庶民の身辺に親しい美術玩弄品であったことを、何よりも具体的に教えてくれる作品であり、参考のために仕様書の全文を記しておきます。
東扇 一、此扇之儀 地帚のなりに切リぬき 折筋之通 りに御折被レ成候ハゝ さいつち”てたゝき候て 上ド をそろへ 民力六寸‘一切 御有合之古ほね’・てもうらの かたより片面‘・付グに被レ成候ヘハ 早速之御間・-合ひ 御持扇と相成申候 絵柄色々追々出板仕候 尤御屏風襖 之張リまぜにも相成り申候 御求可い被い下候
鈴木 春信 Suzuki Harunobu