東海道五拾三次之内8番目 大磯宿 おおいそ Tokaido53_08_Oiso 画題:「虎ヶ雨」 現在の神奈川県中郡大磯町で、平塚から2.9キロメートル。
この雨の図は東海道絵中でも佳作の内に数えられている。空は鼠色にくもって、大粒の雨が降っている。大磯宿へ入る手前、合羽を被った旅人が馬の背でいく、野良帰りの百姓、傘をさした町の人など、雨の下街道も濡れてなにか寂しい。左手田圃の先は海岸で磯馴松、そしてその向こうに開けている相模灘。水平線近くが白く明るく見えるのも、よく海岸で見る実感である。この絵では、この沖の方の明るさが焦点であって、それにひきかえてこのあたりは雨雲の下でうす暗い。
そしてここは小磯とも呼ばれ、西行庵もこのあたりに遺跡となっている。
歌川 広重 Hiroshige Utagawa