役者絵 春章
細判錦絵 34.0×15.3 cm
落款:春章図板元:不明
所蔵:酒井コレクション
三代瀬川菊之丞
路考髷、路考結び、路考茶など市井の涜行をつくるほど、その美貌と芸で謳われた瀬川菊之丞は二代目ですが、安永二年に三十三歳の若さで惜」まれながらこの世を去りました。大阪の振付師の子で富三郎というもの、安永三年江戸へ下り、市村座で舞台をふみましたが、その人が瀬川富三郎といってニ代菊之丞の養子となり、さらにその顔見世から三代目菊之丞を名乗りました。その後、天明・寛政かけて女形俳優の名誉をあらわした。」たがって浮世絵黄金時代の名代の浮世絵師たちによって無数に描かれています。俳名を路考といい、のち仙女と改めました。文化七年没六十歳。
この作はおそらく安永後期、江戸で売り出」たころの若くみずみず」い姿を写すものでしょう。
初雪や物見へはこふ置巨燧 路考とあります。完好に保存された錦絵は、紅紫のあざやかさが、みる人をまず魅了」て切々の愛情をさそうものですが、この絵などはその標本ともなるべき絶品といえましょう。
勝川春章 Katsukawa Syunsho