琴棋書画・画 歌麿
大判錦絵揃物 37.0×24.6cm
落款:歌麿画
板元:蔦屋重三郎 極印
所蔵:大英博物館
先に掲載した人錦三枚続きの作品と同じく、君子の余技として行われた琴・棋・書・画の四芸を、歌麿はここではそれぞれ一枚ずつ、計四枚のセットでまとめています。
緋毛毀を敷き、衝立に楼閣山水を搬く絵描きをかこんで、その絵の出米栄えに見とれる花魁、禿、仲川を配した構図の収まり方にも進歩の跡がみられ、画面は広々とした空川を感じさせます。今ここで絵筆をふるう男は、歌麿白身を恕定したものでしょうか。
彼が、ただ浮欧絵師としての画技を学んだだけでなく、師石燕から多方面の画技を教えこまれたことは、歌麿の初期に発表している絵本や黄表紙、狂歌絵本などによって証明されるもので、本図でも筆洗に川いている鉢の絵付けの山水図などは、なかなか巧みな印象を受けます。
このシリーズは、本図のほかに「琴」と「書」の二図がわかっており、天明期の作といわれる。しかし寛政二年(1790)から行われるようになった「検印」があります。
喜多川歌麿 Kitagawa Utamaro