東海道五拾三次之内44番目 石薬師宿 いしやくし Tokaido53_44_ishiyakushi 画題:「石薬師寺」 現在の三重県鈴鹿市で、四日市を出て日永の追分があり、参宮道と分かれる。そして10.8キロメートルで石薬師に達する。
この追分には伊勢神宮の一の鳥居がある。石薬師はもとは参宮道であったが、元和元年(1615)から東海道の宿駅となった。
林の中の寺を正面に描いた写実性のある佳作である。この寺は西福寺というが、ここにある石薬師仏が有名なのでこの名がある。静かに林の中にある西福寺、それに連なる寒村が山懐に抱かれている全体の構図が実にいい。裏山が三段にぼかされているのも効果的で、寺の門前の馬上の旅人、小路を歩む二人の百姓、田を耕す百姓などの添景人物が、冬の村景として興趣つきないものとなっている。
歌川 広重 Hiroshige Utagawa