凱風快晴 がいふうかいせい South Wind. Clear Sky.
通称「赤富士」と呼ばれ、「神奈川沖浪裏」とならんで北斎の錦絵を代表する一枚で、浮世絵で富士山と言えば、すぐ頭に浮かぶのがこの図で、赤富士と呼ばれ有名です。鱗雲が浮かぶ快晴の空に、山肌が赤く染まった富士。大変シンプルな配色と大胆な構図が印象的です。無駄がなく彫り・摺りにとっても高度な技術を要する作品でもあります。色鮮やかな赤富士は、日本人の心象風景と言える北斎の最高傑作です。
凱風、すなわち夏の南風によって、快晴となった青空を背景に、富士が朝焼けに赤く染まる瞬間を描写するものである。
「凱風快晴」が赤富士と言われるのは、朝日を映し出した富士の赤い山肌の色から命名されています。つまり、赤富士は、反射する太陽の光が主題となっているということです。富士の風景という先入観があるので、「珍しい富士景色だなあ!」ということで満足してしまいますが、実は、富士はスクリーンであって、映し出されている太陽にこそ注目する必要があるのです。
葛飾 北斎 Hokusai Katsushika