倣玉澗山水図 ほうぎょくかんさんすいず Figure that mimics the Sansui of Gyokukan. 雪舟 Sesshu
重要文化財 紙本墨画 一幅 30.0×30.8cm
この画法の柔かい墨色と峻烈な筆法は、溌墨法によったものである。この画法や画様は、のち弟手如水宗淵に与えられた、画幅の原本と考えられる。「倣玉澗」と言われるように、ここでは玉澗の筆様によったことが、紙中右下隅に雪舟自筆で書かれていることでわかる。南末末、天竺寺の書記であったが後、野に降った玉澗は、自由な墨法と省略画法で山水を捉え、文人の本領を発揮して、理想主義的な様式を完成した。ほとんど同期の禅画僧法常牧谿と同様に謳われた。その水墨画法は我が国に取り入れられ、雪舟も入明の折この原画に接し、自身の画風に受けとめたものと考えられる。雪舟画法の異なった一面を示すもので、水墨画のもっとも端的な、神秘さと峻厳さを表わすのに適した墨法を習練していたことを物語るものである。玉澗の激しい墨気と湿潤な墨色をよく捉え、雪舟独自の画風に取り入れている。小品ながら墨の惨み、潤いを示すもので、水墨の真意をうがっている。多彩な特色を持つ雪舟によって開発された画法と言うべきであろう。
Sesshu 雪舟